森博嗣著
何やら評判が良く、メフィスト賞受賞等など聴いたので、読んでみた。
書かれてから四半世紀も経ってから言うのも気恥ずかしいが、こりゃまたすごい作品である。文章も何気なく読み飛ばしちゃいけないような記載がふんだんにある。この一文は伏線だろうか、みたいに。そう思うと、一文一文に気を抜けない。
現実とは何か、生物とは何か、学問とは、研究とは、など哲学的な記載もあるが、決して押し付けではなく、登場人物のあくまで個人の想いとして語られるため、ふーん、うーん、と考えながら受け入れられる。
ここまで書くと、この作品は、哲学書なのか随筆なのかわからなくなるが、ミステリィである。理系作家であり、工学博士の書いた、ミステリィである。いやこれ書いた人絶対頭いい!って思う(上から目線ぽくて申し訳ない)。だけど面白い。
孤島という密室の中の、セキュリティバッチリな研究所、の中の更にセキュリティの高い区画、という3重の密室の中の出来事なのに、設定に無理さを感じない。ミステリィ作品としても、どこまで行っても犯人がわかったようなわかっていないような流れで、最後の最後まで裏切られる。そのトリックだって、非現実的ではない。そういうところすごい。
タイトルに隠された意味も、最後の方にならないとわからないが、これまた、そういうことか!という気付きも面白い。
難癖つけるとすれば、登場人物の一人の犀川先生がヘビースモーカーであること(嫌煙家に配慮しますw)と、萌絵ちゃんが金持ちで、人脈広すぎることぐらいか。あとはコーヒーをよく飲むけど、コーヒーの香りただよう記載がもっと欲しかったかな。些末なことばかりだ。
本作品、英語版もあるらしいが、海外では広く読まれているのだろうか。
もう何作品か読んで、おすすめの作家は?と聞かれたら「森博嗣」と答えられるようになりたい。そう思わせるくらいの高評価な作品であった。
