楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)リバース 湊かなえ

 湊さんの作品は初めて読みました。勝手に恋愛小説家だと誤解して(笑)手を出していなかったのです。今年度の新入社員が、趣味読書でおすすめの作品ということだったので、どれどれと手にとって見ると、何だミステリーじゃないか、と(再笑)。
 文体がスッキリしてて、私には読みやすい印象でした。一文が短いので回りくどくないし、リズム感もでるのだと思います。
 内容的には、友情、人生観、いじめ、愛など色んな意味合いが込められているように感じます。自分は親友だと期待していた友人のことを、実は何も知らなかった、彼の人生の過去をリバースして初めて、彼が周囲に対してどのような気持ち、考えで接していたのか少しずつ理解していく、と言う流れです。この友人、広沢。ここまで他者のことを気遣う人、そうイないのではないでしょうか。それとも実はみんなそうなのかな…。昔読んだ宮城谷昌光の「重耳」を重い浮かべました。古代中国でいずれは王になる重耳ですが、一つ一つの行動において、人にどう思われるかを意識しながら、進んでいく、あのじれったい様。人にどう思われようが、やりたいようにすればいいじゃん、と思いつつも、みんながそうしたら大変になることも明白。
 一人の友人の死を巡って、時系列や色んな人の思惑、悩みが重なり合って物語が紡がれる。嫌な殺人は起きないので、人が殺されるシーンが嫌いな人には良いと思う。湊さんの作品は犯人がわかってもイヤな気分が残るミステリー、ということでイヤミスとも言われますが本作はそんな感じではないと思います。