楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)AX アックス

伊坂幸太郎
 色んな意味で面白かった。何が面白かったって、一番面白かったのは主人公、文房具メーカーの社員で腕利きの殺し屋「兜」の恐妻家っぷり。いや、恐妻家というと兜に叱られそうである。が、うちにも通じる部分があって、苦笑の連続であった。高校3年生の息子に対する思いや愛情などもかなり似ている(多分どこの親子でもそうだと思うが)。
 伊坂幸太郎らしく、伏線というか、全体になにか運命の糸のようなものが一本通っているようなストーリー展開、登場人物のキャラクター付、色々面白い。殺し屋が出てくるので、当然ながら殺人の場面もあるが、何故か凄惨な感じはしない作品。それでいて、死とはなんだろう、家族の絆とは、などなど色々考えさせられた。
 やっぱり、伊坂幸太郎にしても東野圭吾にしても、よく練られているし、その文体やキャラクター、裏に隠れたメッセージなど、人気作家は一味違うね。
 他作品で出てきた推し屋や鯨らしき人物の影などが出てくるのは、伊坂作品としてはニヤッとするところだろう。あーあれか、マーベル作品が結局一つの世界観の中に描かれた、なんだっけ、ユニバースっていうんだっけ?あんな感じでワクワクする。