伊坂幸太郎著
すみません、SF物だと思って読みました。作者もあとがきで謝罪していました(笑)。
伊坂幸太郎の本には、権力を使ったり、人のマウントとったりして、他人を貶めて愉悦に浸るようなすごくイヤーな嗜虐的な人がよく出てくる。「オーデュボンの祈り」の警察の城山しかり、「マリア・ビートル」の中学生王子しかり。本作では平和警察がそれだ。あまりにもひどいので途中で読むのをやめたくなるが、そんな奴らはろくな死に方しない、という期待を持ちながら読み進める。
昔の秘密警察とか魔女狩りのように、危険人物かどうかはわからねども、捕まえ、熾烈な拷問をすることで、自白させる(せざるを得ない状況に追い込む)わけだが、これはこわい。ジョージ・オーウェルの1984でも感じたディストピア感。
一部、二部と進んでいって、二部で「んん?」てなるんだけど、三部でスルスルッという感じ、なんというか氷が溶けていく感じで、最後の最後はおおお、そういう感じで終わるんだ、やられた!という気持ちになった。伊坂幸太郎は結構そういうの多い。すごい。