楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)空の中

有川浩
 若い人が好きだと言っていた有川浩、「塩の街」に続いて二作目を読んでみた。
 高校生が主人公だと、その思考・行動が幼すぎてイライラしたり、逆に大人過ぎて現実味がないと感じたり、と最近はあまり好まないのですが、本作はダブル主人公で、高校生の男女、大人な男女のやり取りが交互に描かれており、なかなか面白い。
 作品としては、戦争反対とか、環境破壊とか、宗教問題とか、どうもいろんな社会課題に切り込んでいるような気がする。
 着想としては、UMAの出現という一点だけなのだが、そこからここまでの物語を紡ぐのは小説のプロット作成においても苦心したんだろうなぁ、と思う。出だしは凄惨とも思える表現による航空機事故の描写から始まるが、本題に入っていくと、青春ものあり、なんとなくの恋愛物もあり。色んな要素が含まれた著者の意欲作と言ったところだろうか。これも映像化された時に武田三尉を誰がやるのか想像するのが楽しい。あと宮じいも、誰がやるんだろう(笑)。
 まさか、こういう小説でDSM-4が出てくるとは思わなかった。UMAの思考について、なかなか思いつかないなー、と思う。どういうことかは、読んでみてください。
 さて、つぎは「海の底」だ。