ちょっと面白かった。白蔵盈太さんの作品
有名な松の廊下での刃傷沙汰、その後の忠臣蔵につながる話であるが、出だしから入りこまされた。忠臣蔵の話ではなく、松の廊下の事件に至るまでのはなしではあるが、今風な語り口であったり、浅野内匠頭の関西弁などが面白おかしく、かつ中間管理職の悲哀、日本ならではの気遣い、プロジェクトマネジメントのリスクマネジメントや、ステークホルダーマネジメントなどにも通じる話しだったなぁ、という読後感を持った。
今は、吉良上野介の陰湿ないじめで切れた浅野内匠頭という図式が日本人の頭には刷り込まれているが、事件の数か月前から出来事を丹念に描き、その時の皆の気持ちに触れていくことで、最後の事件はこうして起こったのでは?という提起をしている。その内容はネタバレになるから書かないが、それで人の命が絶たれてしまっているので切ない気持ちはあるが、ちょっとスッキリした部分もある。
少し前に同じ作者の「義経じゃない方の源平合戦」も読んだが、こちらも軽妙でありつつ歴史の新しい解釈である。
『新説「忠臣蔵」』とか、『新説「源平合戦」』ではないこのタイトルがマッチしていると思う。
他のも読んでみたいな。