楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)株式会社タイムカプセル社

 

(読了)株式会社タイムカプセル社
喜多川泰作
SFだと思って読み始めてしまいました。全く違った(笑)。
たまにあるじゃないですか、未来への自分へ手紙を書いて、タイムカプセルに入れて埋めておくやつとか。ああいうやつを必ず、しかもナイスなタイミングで渡してくれるサービス。それがタイムカプセル社。配達人は白のスーツの上下という、ちょっと非日常的な服装でさっそうと現れる。
 読み進めていくうちに、これは心理カンセリングの本だな、と気づいた。行動療法とか倫理療法、ゲシュタルト療法やアドラー心理学にもつながる話。心理学をある程度かじった私のそういった醒めた目で見ても、ちょっとうるっとしてしまう私は涙もろい。
 人生は、いつでも、何度でも、どこからでも、やり直せる。確かにそうなのよ。要は物の考え方次第、というところ。ただ、出てくる主人公はみんなそれなりに若くて、もっとおじさんのエピソードもあると良かった、と自分の歳では思うのであった。
 特に印象的なのは、「今ここ」に集中、であろうか。過去をウジウジ後悔しても過去が変わることはない。未来を心配したって、どんな未来になるかなんて誰もわからない。今ここの自分の行動が未来を作る、そういう考え方になれば幸せになれると思う。あとは、相手がどう思うか、なんてわからない、こう思っているに違いない、なんてあなたの思い込みにしか過ぎないし、どう思おうとそれは相手の課題であり、あなたには関係ないのよ、といったアドラー的な考え。
 これらを物語仕立てにして、じっくり読ませる。こんな作品書けるなんて、いつもそういうこと考えてるんだろうなぁ、なんて思いました。