楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)乱都

 天野純の作品。この方の作品は初めて読みました。
 主に7編の短編集みたいになっているのですが、時代は昔から脈々と流れ、その時々の時代の寵児とも呼べる人たちに主人公が変わっていく、この形、なかなか面白かった。前の話で敵対していた人が次の話では主人公となり、視点が逆転し、さらには時代、世の中も移っていく。
 本書は応仁の乱1467年)から始まり、羽柴秀吉が関白になるくらいの年代(1582年天正10年)までが描かれている。京には魔物が住んでいるかのように、皆京を目指し、京にこだわり、京にて倒れていく。その都度京に住まう人々は離散、略奪され、幾度も焼け野原と化す。それでもなぜ皆京を目指すのか。その取り憑かれる様は興味深く、自分も京に一度住んでみたい、と思ってしまった。にしても100年以上戦乱の世だったのだと思うと、その当時に生まれてなくてよかったと思うが、ほんの僅かながらその世に生まれて天下取りの夢を見たかった気もする。
 こんな作品が、NHK大河ドラマで取り上げられたら面白いだろうな。。。若年の頃を話題の俳優が無理のある設定やメイクで演ずることなく、リアルな年齢で油の乗った演技もできるだろうし、2ヶ月くらいで主役が変わっていくが、時代背景やストーリーが飛ぶわけでもないので、ずっと見てられる。NHKのプロデューサーさん、ご検討ください。
 次は、同じく天野さんの「信長 暁の魔王」がネクストバッターズサークルで待っています。

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