楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)じんかん

今村翔吾著
 人間と書いて、一人であれば「にんげん」と読む、複数であれば「じんかん」と読む。本作は人と人の関係性を、横に縦に命を超えて繋いでいく物語を、織田信長ストーリーテラーとして流れていくものであった。信長の物語というと、否、そうではない。時代の梟雄とも言われ、その時代三代悪事を行ったと言われる松永久秀の「じんかん」を描いた物語であった。
 世の中では三悪をなしたと言われているが、本当のところどうだったのかはわからないが、本作で描かれる松永久秀は全くそうではない。それは、何度謀反しても信長から許されてきた史実から、信長は久秀を深く理解し、共感をしていた、同様の人物出会ったのではないか、という着想から描かれたものではないだろうか。
 武士の時代に武士がいらない世の中を作ろうとするのは、その突拍子もないことだったのかもしれないが、民が平和に暮らせる、というのは結局武士がいらない世の中である、ということ立ったのではないかと思う。徳川幕府は武士を残したが、結局のところそれが正解だったとも思えないし、戦がない世の中で武士が生きていく術は大変だったのだろうと思う。
 戦国時代を生きた熱い人たちに想いを馳せる時間でした。きっと自分がその時代に生きていたら、あっという間に飢え死にするか追い剥ぎにやられちゃって生き延びられなかったろうな。。。