楽観ロックのつぶやき

皆さんのおそばに一言添えたい。

(読了)孔丘

宮城谷昌光
 久しぶりに宮城谷氏の小説を読んでみたくて、また論語から孔子に関するものを読んでみたくて、手を出してみた。
 初めて論語以外で知る孔子。少し噂は聞いていたが。。。
 この本はちょっと小説っぽいところが少なく、歴史書の装いが強いと感じた。まぁ2千年以上前のことで、一次資料なんてないに等しい中どこまで史実がわかるのか、それ以上にどんな人だったのか、を含めて小説にするのは極めて大変な作業だと思うし、今やそんなことができるのも宮城谷氏しかいないのではなかろうか。
 で、孔子であるが、この小説に出てくる孔子は、聖人君子というよりも、かなり人間臭い。好敵手なのか仇敵なのか陽虎にかなりやられているし、弟子から呆れられてしまうこともある。が、「教える」ということに関してはかなり人の心を掴んでいる。政治家や戦略家という意味では、晏嬰や管仲などには及びもつかない様に見える。が、くるものは拒まず、教えを行人はどのような人でも受け入れ、その人に合った言葉で語る、というあたりはなかなかできることではなかったのではないか。
 私が中国歴史小説を読んで憧れるのは、太公望楽毅であったが、いずれも人望厚い人であった。そういう意味では、孔丘も憧れのリストに入れてもよいのかもしれない。